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「フェンダー」といえば、エレキギターやベース、アンプといった電気系のイメージが濃厚で、最近ではオーディオ市場にも参入しています。そんな中でアコギもリリースしており、随所に「フェンダーらしさ」が発揮された個性的な設計は、アコースティックギター界でもひときわ異彩を放っています。エレキギターで世界的に有名なブランドだということもあり、ネックの太さや弦高などエレキギターからの持ち替えに違和感を感じない、エレキギターの感覚でプレイできるモデルが特徴的です。

アコギはフェンダーの黒歴史?

フェンダーは1960年代から、アコースティック市場への参入を目指して斬新なアコギを開発してきました。しかしながら売れ行きは振るわず、1971年には全てのアコギの生産が一旦終了します。フェンダー公式サイト(英語)で語られる「フェンダーの歴史」では、テレキャスターストラトキャスタープレシジョンベースジャズベースなど定番機が紹介されながらアコギの記述は一切ないことから、フェンダーにとって当時のアコギは「無かったことにしたい」黒歴史だったようです。

愛用する有名アーティストも多くはいないため、ヴィンテージ市場では希少性(売れなかったから)とは裏腹に価格がそれほど上がらず、「ヴィンテージとしての価値はない」とまで言われてしまう事もあります。では、60年代当時のフェンダーのアコギはどんなものだったのでしょうか。

フェンダーに移籍したギターレジェンド

リッケンバッカーに在籍している間に、後年モズライトを立ち上げたセミー・モズレー氏にギター製作を手ほどきし、また3シリーズなど多くの名機を開発したロジャー・ロスマイル氏(Roger Rossmeisl。1902-1975)が、1962年にヘッドハンティングによりフェンダーに入社します。ロジャー氏はドイツに帰国する1973年までに、近年復活したコロナドをはじめとする多くのホロウボディ、またアコースティックギターを開発しました。しかし当時はどれもヒットに繋がる事がなく、氏の開発した楽器は70年代初頭に全て廃盤になってしまいます。

近年コロナドやアコギが再生産される事になり、ロジャー氏の名誉は回復されつつあります。これがなかったら、フェンダー社におけるロジャー氏の業績はジョージ・ハリスン氏が愛用した「オールローズのテレキャスター」だけになるところでした。

60年代のフェンダー・アコースティックギターの特徴

当時のフェンダーのアコギは、エレキギターで培ったノウハウと新たなアイディアをじゃぶじゃぶと注ぎ、アコースティックギターの常識に真っ向から挑戦するような野心的な設計でした。いかにもこの時代風な外観と相まって、先述したロジャー氏の「やりすぎ」感が否めない斬新すぎたラインナップは、残念ながら商業的には大失敗しました。しかし、その際立った個性に魅せられたファンの「マニア心」をくすぐる希代の逸品でもありました。

ストラトを彷彿させるネックと、まさかのボルトオンジョイント

フェンダーのエレキギターと
同様のヘッド・スタイル

アコギといえばギブソンでもマーチンでも、両側に3つずつペグの付いたヘッドデザインが常識的です。ところがフェンダーでは同社の代名詞でもある「クローシャン・ヘッド(片側6連ペグのヘッド)」が採用されており、一目で「フェンダーのギターだ」と分かります。また、

  • ヘッドに角度は付けられず、ナットからの弦落ち防止にストリングガイドが使用される

  • ローズ(ハカランダが使用される事も)を貼ったメイプルのネック

  • ネックはボディにネジ留め(ボルトオンジョイント)される

といった形でエレキギターの工法をアコギに転用しており、モデルによってはオクターブ調整まで可能です。グリップ、弦高ともにエレキギターに近いセッティングを前提としており、エレキギター同様の弾き心地で演奏ができます。

ボディ内部をパイプが通る

サウンドホールから視認できる個性的な構造です。ネックブロック(ボディ&ネックの接合部分)からボディの末端まで、縦にパイプを通しています。これはボディ全体に振動を効率よく行き渡らせる役割と共に、強力な弦の張力に対抗する補強の役割も果たします。

ピックガードが、ネジ留め

設計ミスを疑われるポイントですが、本来なら貼り付けられるべきピックガードが、ネジ2本で留められています。緩んでしまうとノイズの発生源となり、また柔らかいスプルースのトップに対して思い切りネジを締め込むとネジ穴を破壊してしまう可能性がある、悩ましい設計です。しかしサウンドのためには分厚いピックガードは振動の邪魔にしかならないため、「嫌なら取り外す事ができる」というところがポイントだったのかもしれません。

Tim Armstrong Performs “Black Lung”
パンクロックバンド「ランシド(Rancid)」のギターボーカル、ティム・アームストロング氏は、エレキではグレッチ、アコギはフェンダーからシグネイチャーモデルをリリースしています。

現代に甦ったフェンダー・アコースティックギターの特徴

現代のフェンダーは60年代の失敗を活かし、アコギの常識に挑戦する設計をやめた、スタンダード感のあるラインナップを展開しています。かつての雰囲気を残した個性派モデルの復刻版や、それをヒントに新開発されたニューモデルも発表されていますが、ネジ留めピックガードは貼付け方式に、またボディ内部を貫通しているパイプは廃止に、そして最大の特徴であったボルトオンジョイントまでセットネックに変更されています。これらの修正により、現代でもまだ斬新すぎると感じる個性をいくぶんマイルドに抑えた、多くの方に受け入れられやすいギターに仕上がっています。

では、現代のフェンダーのアコギにどんな特徴があるのかをチェックしてみましょう。

合板サイド/バックを基本とする頑強なボディ

どのモデルも一貫して、

  • ボディのサイド/バックは合板

  • 手入れが簡単なウレタン塗装

になっています。合板のボディは多少重たくなる代わりに頑丈で、変形しにくく安定しています。ウレタン塗装はキズが付きにくく、ケアを怠っても白濁したり変質したりしません。ストラップピンのネジを受け止める部分は内部から補強されており、さらにメイプルネックの場合、たとえ転倒させても折れないのが普通です。以上の事からフェンダーのアコギは少々荒っぽく使っても大丈夫な剛胆な作りであり、「ステージでガンガン使用するためのギター」であると言えるでしょう。ハードコア/パンクのアーティストが使用する事があるのも納得です。

ボディトップとナット/サドルの組み合わせ

ボディトップのスプルースには単板と合板がありますが、

  • 単板のトップにはボーン(骨)ナット&サドル

  • 合板のトップにはタスクやNuBone(人工素材)のナット&サドル

と組み合わせが決まっています。ナット&サドルには天然素材を使用するのが、伝統的なアコギのスタイルです。安いものにはプラスチックが使われるのが一般的ですが、ここでタスク(人工象牙)やNuBone(人工牛骨)をセレクトするところがフェンダーのこだわりです。

順反り、逆反り両面に利くトラスロッド

「デュアルアクション・トラスロッド」が全モデルに採用されており、順反りでも逆反りでも調整ができます。四季の変化に富み気温や湿度の変動が激しい日本では、季節ごとにネックが動く事もあります。どちらにも調整できるトラスロッドは、引き換えに重量が増しますが嬉しい機能だと言えます。

シンプルかつ高性能なFISHMANピックアップシステム

エレアコに搭載されるピエゾピックアップとプリアンプは、この分野の老舗「フィッシュマン」のものが搭載されます。3バンドイコライザにより積極的なサウンドメイクができ、またクロマチックチューナーも付いていて便利です。

フェンダーらしい明瞭なトーン

モデルごとにそれぞれのキャラクターがありますが、低音が膨らみすぎないよう整理されており、中高音の存在感がある明瞭なトーンを持っています。これはフェンダー・エレキギターのイメージである「シャキっとした音」をアコギの分野で発揮しているかのようです。アンサンブル内でも聴きやすいサウンドなので、ロックバンドでもストレスなく演奏できます。エレキギターからアコギに持ち替えるというユーザーだけでなく、アコギをメインに演奏するという方々も納得できるギターになっています。

フェンダー・アコースティックギターのラインナップ

フェンダーのアコギは大きく分けて、

  • メイプルネック:60年代のアコギのスタイル。一見してフェンダーと分かるヘッド。

  • マホガニーネック:一般的なスタイル。ヘッドのロゴを見たらフェンダーだと分かる。

という分け方ができます。本国アメリカにはアコースティックのカスタムショップもありますが、現時点では日本に輸入されていないようです。

メイプルネック:フェンダーらしさの発揮されたラインナップ

Kingman Jumbo SCE with Case

指板にバインディングとブロックインレイを持つ、フェンダー・アコースティックギターの最上位機種です。かつてのキングマンはドレッドノート・タイプのボディだったのですが、現代版では大型のボディで復活しています。ボディの大型化に合わせてネックも若干太くなっていますが、それでもナット幅約43mmというサイズはアコギの中では細めの部類に入ります。


Fender Kingman ASCE

Redondo / Sonoran / Villager / Malibu

こちらはドレッドノートタイプのシリーズです。「レドンド(Redondo)」はトップが合板、「ソノラン(Sonoran)」はトップが単板、「ヴィレジアー(Villager)」はソノランの12弦仕様です。
「マリブ(Malibu)」は小さめボディで、弦長はそのままですがナット幅約41mmと、かなり細いグリップになっています。カッタウェイ(Cutaway)を持つエレアコ(Electric Acoustic)仕様である「CE」が基本ですが、ソノランのみカッタウェイをピックアップを持たないモデルが出ています。

レドンドとソノランはナット幅約42mmで、ストラトキャスターなどのエレキギターとほぼ同じネックグリップになっています。これはアコギのネックとしては極めて細く、手のサイズに自信がない方にもお勧めです。

本家のフェンダーだからこそ許される、ストラトキャスターやテレキャスターのボディシェイプをそのまま残して仕上げたエレアコです。ストラタコースティック(Stratacoustic)はコンター加工がないためストラトのまんまとまではいきませんが、ストラト同様にハイポジションまでストレスなくプレイできます。テレコースティック(Telecoustic)は、テレキャスターそのまんまの弾き心地です。サイド/バックはガラス繊維の一体成形で作られており、オベーションを彷彿させます。

両モデルとも、基本モデルに加えてメタリックカラーでマッチングヘッド(ボディとヘッドが同じ色)仕様の「プラス(PLUS)」、美しいフレイムメイプルとボディトップにあしらった「プレミア(PEMIER)」があります。

左から:CD-320ASRWCE、CD-320ASCE、CD-220SCE、CD-140SCE、CD-100CE

ドレッドノートをメインとし、マテリアルに豊富なバリエーションを設けたシリーズです。楽器にいちいち名前をつけるフェンダーらしからず、モデル名は「CD-320ASRWCE with Case」のように全て型番になっています。数字はそのモデルのグレードを表し、数値が高いほど上位グレードです。

  • CD-320ASRWCE:シトカスプルーストップ、インドローズサイド&バック

  • CD-320ASCE:単板スプルーストップ、単板マホガニーサイド&バック

  • CD-220SCE:単板スプルーストップ、合板アッシュサイド&バック

  • CD-140SCE:単板スプルーストップ、合板マホガニーサイド&バック

  • CD-100CE:合板スプルーストップ、合板マホガニーサイド&バック

その他、オールマホガニーのモデルなどがラインナップされ、材の違いを楽しむことができます。

左から:100CE、300CE、400CE

ロゼッタ(サウンドホール周りの装飾)やヘッドの意匠を、ロケンローな作風で知られるイラストレーターのヴィンス・レイ氏が担当した異色のドレッドノートです。

  • 100CE:合板スプルーストップ、合板マホガニーサイド&バック

  • 300CE:フィギュアドメイプルトップ、合板マホガニーサイド&バック

  • 400CE:フレイムメイプルトップ&サイド&バック

というようにグレードごとに材料が異なります。

Fender(フェンダ-)のアコ-スティックギタ-分析

バスドラム(写真内 1)

Bass Drumと表記することから「ベースドラム」「ベードラ」「バスドラ」と呼ぶ場合もある(アメリカなどの英語圏では「ベースドラム」と呼ぶのが一般的)。いわゆる大太鼓。他に「キック」(Kick)と呼ぶこともある。一般的な右利きの場合、奏者の右足側の床に横倒しに設置し、ペダルを踏んで演奏する。

フロアタム(写真内 2)

床に直接置くので「フロア (floor) ・タム」と呼ばれる。右利きの場合、奏者の右側に設置するのが一般的。大口径のタムで代用する場合もある。並び順はタムと同様。

スネアドラム(写真内 3)

奏者の目の前、膝の高さに専用のスタンドで設置する。「サイドドラム」と呼ぶ場合もある。いわゆる小太鼓。スネアサイド(スネアドラムの裏面のヘッド)にスナッピー(スナッピーは日本独自の言い方で、通常はスネアと呼ぶ)と呼ばれるスチールないしブラスなどの金属製の響線が装着されている事が最大の特徴である。胴の深さは一般的に5インチ(約13センチ)前後、口径は14インチ(約36センチ)が主流であるが、胴深6インチ以上のスネアや、胴深3 - 4インチ程度のスネア、口径が13インチ以下のスネアなど多種多様である。薄めのスネアは「ピッコロスネア」とも呼ばれている。

トムトム(写真内 4)

ドラムセットでは「タム」と呼ぶのが一般的。バスドラムやシンバルスタンドに取り付けたホルダーまたは専用のスタンドを使い、バスドラムの上付近に設置する。複数設置する場合は、右利きの場合主に左から右へ小さい順に並べるのが一般的である。口径の異なる2つのタムを設置する右の写真のような構成に限らず、タム1つのみを配した、いわゆる「3点キット」と呼ばれるシンプルな構成がなされることもあり、設置する個数、口径に決まりはない。高橋まこと(元BOØWY)や真矢LUNA SEA)、テリー・ボジオ大久保宙のように、タムだけで10個以上を配するセットを組む奏者も存在する。

ハイハットシンバル(写真内 5)

右利きの場合、奏者の左足側、スネアドラムの直近に専用のスタンドで設置する。またワイヤーを使って奏者の右側や自由な位置に設置するリモートハットもある。また、ツー・バス演奏時に左足を使用できない状態で、クローズ音が欲しい場合や、常時ハーフ・オープンの音が欲しい場合に使用するクローズド・ハットといったものもある。左側に設置している場合、腕をクロスさせて右腕で叩く「クロスハンド奏法」が一般的だが、腕をクロスさせずに左腕で叩く「オープンハンド奏法」で叩く奏者も存在する(オープンハンドの項を参照)。

シンバル(写真内 6)

設置にはスタンドを用いる。ライドシンバル(トップシンバルとも)やクラッシュシンバル(サイドシンバル)、エフェクトシンバル(チャイナスプラッシュベル、ゴング、カップチャイム、重ねシンバル)などがあり、ライドシンバルはフロアタムの上付近に設置するのが一般的。その他のシンバルの配置は奏者の好みによる。一般的にライドシンバルはリズムをキープする目的で使われ大口径(主に20インチ - 22インチだが、19インチや24インチのものまで存在する)で厚い。クラッシュシンバルは曲中でアクセントを付けるときに使用される。一般的にライドシンバルより小口径(主に16インチ - 18インチだがこちらも14インチや20インチのものもある)で薄い。

ドラムスティック

ドラムは、パフォーマンスの延長として手で叩く場合もあるが、主にスティックといわれる(ばち)が用いられる。一般的には、ヒッコリーで出来たものが多く、メイプルオークで出来たものもある。少数派としてアルミ製、プラスチック製、ファイバー製のものや、内部に発光体を入れたものなども存在する。木製のスティックの先端(チップ)には、木製のものが一般的であるが、ナイロン製のものも各社から販売されている。スティックに似たもので、ブラシや、ロッズと呼ばれる細い棒を束ねたもので演奏する場合もある。より優しい表現が求められた時、ブラシやロッズが用いられることが多い。逆に、より太く重い音を出したい場合、先が球状になったマレットで演奏する場合がある。その場合は、ドラムスキンを破損しないよう、大抵マリンバ用に準じた柔らかいものが用いられる。

Musical Instrument Maker-1

楽器メ-カ-アラカルト-1

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